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最高裁判所第三小法廷 平成2年(行ツ)202号 判決 1991年3月19日

上告人

河合種夫

被上告人

小野市長

廣瀬博司

右訴訟代理人弁護士

大白勝

上谷佳宏

木下卓男

福間則博

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告人の上告理由について

国土調査法一七条二項に基づく申出は、国土調査を行った者に対し、地図及び簿冊に測量若しくは調査上の誤り又は所定の誤差があることを指摘し、地図及び簿冊を修正するように職権の発動を促すものにすぎず、国土調査を行った者は、右申出をした者に対し何らかの応答をする法令上の義務を負うものではないと解するのが相当である。上告人がした地図及び簿冊に関する本件更正の申立てが右規定による申出であるとしても、右申立てに対する被上告人の回答は、法令に根拠のない事実上の応答にすぎず、上告人の権利義務ないし法律上の地位に直接影響を及ぼすものと解することはできない。したがって、被上告人がした右申立てを容れない旨の回答は抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらず、本件訴えは不適法であるとした原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、独自の見解に基づいて原判決を論難するか、又は本件訴えが適法であることを前提として、原審が上告人の本案についての主張を採用しないことの不当をいうものであって、採用することができない。

よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官坂上壽夫 裁判官貞家克己 裁判官園部逸夫 裁判官佐藤庄市郎 裁判官可部恒雄)

上告人の上告理由<省略>

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